「買った家具にヒビが入ってきた!」

よく、そんなご相談をいただきます。初めて見るヒビに驚いてしまうお客様も多く、

「このまま真っ二つになっちゃったら、どうしよう・・・。」
「もしかして、不良品なんじゃ・・・?」

そんな不安をお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。

まずは、安心してください。家具が真っ二つになってしまうことはありませんし、不良品でもありません。


特に、冬場はヒビが入りやすい。

冬場は寒さだけでなく、乾燥も辛い季節です。屋外はもちろん、暖房が効いた室内は湿度が10%くらいまで下がってしまうこともよくあります。

唇が割れたり、手にあかぎれができたり・・・。乾燥すると、人の肌もヒビ割れが起きますよね。それは、無垢材の家具もまったく同じなんです。これには、無垢材の“調湿機能”が関係しています。

無垢材の板は、湿気が多い梅雨時は部屋の中の水分を吸い込んで膨張します。反対に、冬場の乾燥した時期には水分を吐き出して縮みます。この縮む過程で、板の中で繊維の引っ張り合いが起きてヒビが入るというわけです。


ヒビは防止できないのか。

結論から言えば、無垢材にヒビが入るのを完全に防止することはできません。しかし、製造過程でその確率を下げることはできます。

①ウレタン塗装を施す。

ウレタン塗料は木の表面に膜を作るので「木の調湿機能を抑え、伸縮を制御する」ことができます。極力薄く平滑に仕上げることで、オイル塗装に比べて手触りが劣ることもなく高級感のある質感になります。

②構造を工夫する。

一番一般的なのは、「反り止め(ソリドメ)」というパーツを使って板の動きを制限する方法です。素材の特性に合わせて、鉄製のパーツを使ったり無垢材を使ったりします。

③完全に乾燥した板を使う。

地味ですが、これが一番効果的です。「乾燥材」と呼べる含水率15%程度の安定した板に仕上げるには、伐採から7年〜10年という時間が必要になります。その分価格は上がりますが、家具としての安定性を高めるためには必須の条件です。


使う環境も大事です。

ヒビは木の収縮によって起きます。収縮が起きるのは水分が出たり入ったりする時なので、家の中で一番ヒビが起きやすい場所は暖房の吹き出し口近くです。ほかにも、直射日光や水濡れなども原因になることがあります。

対策としては、以下の通りです。

①暖房の吹き出し口の近くに置かない。(状況次第で加湿器の併用も

温風が当たると、木は急速に収縮します。その過程で、事前にどんなに乾燥させた木だったとしてもヒビが起こる確率は一気に高まります。また、お部屋の湿度も重要です。冬場には、室内の湿度が15%を下回るような環境も珍しくありません。そのような場合は、加湿器を使うことで一定のヒビ防止効果があると考えられます。

②直射日光に当てない。

温風が当たった時と同様、木の温度が上がることで水分が放出されます。その過程で収縮が起き、ヒビが入るる可能性が高くなります。また、紫外線によって木自体が劣化する可能性もあるので、直射日光は避けた方が無難です。

③水に濡れたらすぐに拭き取る。

水に濡れたまま長時間放置すると、特にオイル塗装の場合は木の内部に水分が染み込みます。それが蒸発する過程で、木の収縮が起きてヒビが入る可能性が高くなります。ダイニングテーブルなどの場合には、「食事が終わったら軽く拭く」「ランチョンマットやコースターを使う」というのが効果的です。


それでも、ヒビは入る。

残念ながら、上記の方法で対策してもヒビが入ることはあります。合板や突き板、樹脂製品ならまだしも、絶対ににヒビが入らない無垢材というものは存在しません。

もしも、「うちのお店の無垢材は高品質だから、絶対にヒビは入りません!」と言っている業者があったら要注意です(僕も出会ったことはありませんが)。「たとえ嘘でも売れれば構わない」と考えているか、単純に知識がなくて説明できないだけでしょう。


ヒビが入った時の対処法。

あらゆる手段を尽くしても、入る時には入るのがヒビです。そこで、「どうやってヒビを防ぐか」と同じくらい、「ヒビが入ったらどうするか」も大切になってきます。

①塗料を塗って様子を見る。

まずはこの対策をとることが多いです。オイル塗料を染み込ませて着色し、ヒビを目立たなくした上でしばらく様子を見ます。

というのもヒビは乾燥によって発生するものなので、逆に部屋の湿度が高くなると元どおりになる可能性があるからです。具体的には、「冬場に入ったヒビが、梅雨時になったら閉じた」ということがあり得るんです。

もちろん次の冬にはまた開く可能性が高いのですが、梅雨時にはまた閉じます。木の調湿機能を邪魔しない、もっとも自然な対処法であると言えます。

②ヒビを埋める。

続いての対処法として、ヒビを埋めてしまうこともできます。

状況に応じて素材を使い分けますが、一番多いのは蜜蝋によって埋める処置です。滑らかな仕上がりになり、ヒビを意識することなく使えます。その反面、①で塗料を塗った時のように「梅雨時になると閉じる」ということはなくなります。木が膨張しても、ヒビが埋まってしまっているのでそれ以上動きようがなくなるためです。

なので、ヒビが大きくて気になる場合だけ採用することにしています。

③「反り止め(ソリドメ)」を強化する。

万が一ヒビが非常に大きくなりそうな時や、オーナー様がどうしても不安な時には反り止め(ソリドメ)を強化する場合もあります。板の裏面に金具で補強することもできます。工期と金額がかかるためあまり採用することはありませんが、最終手段としては効果的です。


無垢材家具と、末長くお付き合いいただくために。

事前に対策を取り、使う環境に気を配ったとしても「100%ヒビが入らない」と言い切ることはできません。

そして家具は本来、「生活のための道具」です。真冬の寒い日に、「もっと暖房を入れたいけれど、家具にヒビが入るかもしれないからやめておこう」というのでは、本末転倒ですよね。暮らしの主役は、家具ではなくて「そこに住むあなた」です。

「多少は気にかけるけれど、毎日を快適に過ごすことを優先しよう。そして、もしもヒビが入った時にはプロに対処をお願いしよう。」

そんな気持ちで、無垢材家具と末長くお付き合いいただければ嬉しいです。


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